Ruka170cm98F の 知恵ノート

医学部 再受験 理学療法士 などについての知恵ノート集

【06】医学部受験 再受験生へのアドバイス等(医学部再受験生を主な対象にして書いています)

医学部受験 再受験生へのアドバイス等(医学部再受験生を主な対象にして書いています)
 
 
注意
  • 情報の信憑性には万全を期しておりますが、ここで紹介する情報で万が一
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  • を負えません。ご了承下さい。
注意
  • 勉強法についての記述はありません。
  • 本稿は主として再受験生を対象に書いています。ご承知おき下さい。
 
⓪ このノートの目的
 
再受験で医学部に入学した者です。
再受験で医学部合格を目指している人のために何らかの参考になる情報提供やアドバイスができればと思い、これを書きました。
医学部受験期から合格直後までの、受験勉強以外の話がメインです。
勉強法について書かれているサイトはたくさんありますが、それ以外にも受験の前後で気になることが多くあるはずです。このサイトでは、そういったことを主としてまとめています。
 
以下、紫字で箇条書き風に挙げて、コメントを記載しています。
 
 
① 医学部再受験生にはどんな人がいるか
 
合格前まではわたし自身も医学部再受験生の話はエール出版の体験談ぐらいしか読んだことがなく、当時は詳しいことはほとんど知りませんでした。
 
実際に入学してみると、
多浪…純粋な浪人
・前の大学在学中に受験(仮面浪人後に中退)…再受験
・前の大学卒業後、社会人経験あり…再受験
・その他(たとえば、前の大学を卒業と同時に合格して入学など)
いろいろなパターンの人がいます。
 
わたしはでしたが、全体的には社会人経験なし…の人が多いように思います。
 
ともに旧帝大出身者が目立ちますが、地方国立大学の人もいます。早慶関関同立の出身者もいます。
 
理系の人が多いですが、文系の人も若干います。
理系は、理学部、工学部、農学部、歯学部、薬学部、獣医学部など、出身学部は様々です。
 
元社会人の職歴ですが、薬剤師等の医療従事者もいれば、医療とは無関係な民間企業の技術職の人や地方公務員もいます。
 
中には他学部に現役合格し、1年で医学部に再入学した19歳の人もいますが、入学時年齢は21~27歳ぐらいが中心です。
20歳代に比べると少ないですが、30歳以上もチラホラいます
 
以上は一般論に聞こえるかもしれませんが、他大学の話は交えず、わたしの大学の話だけを述べたものです。
 
 
② 他大学の話
 
わたしは医学生勉強会などの機会を通じて、他大学の医学生と交流する機会が年に数回不定期にあって、その度に「○△大学には高齢の医学生はいますか?」などと質問していました。
わたしの感触だと、25%が「結構いますよ」、50%が「います」、25%が「いませんねぇ」といった感じです(あくまでも主観です)。
全国的に見ても20歳代の再受験生は全く珍しくなく、30歳代の医学生もそんなに珍しくありません。たまに40歳代も見かけます。
 
ネット上には寛容度をカテゴリー分けしたサイトがいくつか存在しています。例えば、以下のようなサイトです(わたしは関係者ではありません)。
 
個人的にはだいたいこの通りだと思います。しかし、「厳しい」に分類されている大学にも30歳代の医学生が複数在籍している例はあります。ある「厳しい」大学の学生にこのサイトを見せたところ、「これは絶対に違う」と言っていました。
学部長や入試委員長が交代するとこの傾向が多少変わることがあり、古い情報だと当てにならないかもしれません。
しかし、「厳しい」「かなり厳しい」大学は一応は注意しておいた方がいいと思います。
 
基本的に、学力試験の結果が良ければ面接でひどいことにならない限り合格できるはずです(そうではなかった例が過去報道で取り上げられていましたが…)。
 
旧帝大医学部に在学する再受験生は少なめのようです。これは高偏差値のリスクを避けるため志望する人が元々少ないからだと考えられます。再受験生がチラホラいる旧帝大も知っていますが、あまり大学名に拘るべきではないと思います。
 
ところで、中にはライバルを蹴落とそうとネット上で工作員活動をする人もいるようです。ネットサイトの信憑性ってそもそも怪しいものですから、いろいろなサイトを比較して(2chは基本的にNG)総合的に判断するしかないでしょう。
 
最も確実に知る方法は、志望校のオープンキャンパス等に参加して、そこの複数の医学生に直接質問してみることです。
 
 
③ 合格前の生活
 
詳細は不明です(恐らく千差万別です)。
同級生と、以前の大学や職歴、受験時代の予備校歴ぐらいの大まかな経歴の話はしますが、具体的な受験生活など詳細までしつっこく踏み込むことはあまりしません。受かってしまえばどうでもいい話ですし…。
仮に何年もの受験期間を経て合格したとしたら、その暗黒時代の話を積極的には話したがらないはずです。
打ち明け話をするとしたら、最初の頃の飲み会の時ぐらいです。
 
わたしが知る限り、仮面浪人は出席不足で留年していた人が多いです。仮面で受験勉強しつつキチンと卒業してから受験し受かる人もいますが、そういう人は比較的少ない方です。
仮面浪人で留年していて、ほぼ卒業を諦め、最終的に医学部に受からなかったら、後がなかったと思います。
 
これをお読みの医学部受験を考えている現役大学生へ。1~2年生のうちなら仮面浪人するのもいいでしょう。ただし、受験に専念すればするほど、今の大学の卒業が難しくなっていくと思います。個人的な意見ですが、決心が付いた時が3年生の冬まできていたら、取り敢えず今の大学はキッチリ卒業しておくことを強くお勧めしておきます。
 
 
④ 学士編入について
 
倍率は非常に高いです。学力がないのに記念受験する人もいますから、実際の勝負倍率はもっと低いでしょうけれど…。
学士編入は試験日が大学ごとにまちまちなので、日程的に可能な限り受けられる大学を全て受ける…が一般的なスタンスです。6校、7校と、多数出願する人が多いようです。
 
ここでは詳細まで触れませんが、基礎知識として以下挙げておきます。
編入時期は2年次前期、2年次後期、3年次前期など様々
◆学科試験合格者が面接に進む方式で、合格まで最低2回は行くことになる
◆出願期間、試験日、受験科目は大学ごとに異なる
◆受験科目は一般入試の科目とも異なる
◆受験料は国公立大学の場合、一律3万円のようです
 
以前は3年次編入が多かったのですが、今は2年次前期編入が半数以上になってしまい、在学期間を1年しか節約できません。時間節約の旨みが薄れた感じがします。
 
以下のサイトも参考にして下さい。
 
河合塾KALSのパンフレットには大学別の受験科目等、詳しい情報がありますので、興味のある人は入手をお勧めします。ただし、講座自体はお勧めとかという話ではなく、ここではご紹介のみに留めます。
 
*わたしは河合塾関係者ではありません
医学部河合塾学士編入パンフ.jpg
前の出身大学が文系で、学士編入で医学部に入られる人はいます。
*以下の方はKALSとは無関係です
文系から医学部へ学士編入した人.jpg
ライバルには理系修士出身者が多いですから、文系ですと余程の地頭がないと難しいと思います。上記の方と直接お会いして話したことがあるのですが、バイタリティーがある方だなという印象が強く残っています。
 
ヤ〇ー知恵袋には学士編入組の医学生が回答者としてたまに現れるようなので、指名して質問してみるといいかもしれません。
 
 
⑤ 一般入試について
 
国公立大なら、センター試験と二次個別試験(前期日程後期日程)を受けることになります。
センター試験は2019年度を最後に2020年度以降廃止予定
 
前期日程の受験科目は主として{(数学+理科2科目+英語)の4科目+面接}
です。中には国語を課す大学もあります。
少数ですが、理科1科目の大学、理科がない大学もあります。
配点も大学により異なります。
こういったことも検討材料に含めて、志望校を探すといいと思います。
 
後期日程については、わたしのサイトの別ページをご参照下さい。
小論文だけの大学も多いですし、面接のみの大学もあります。
 
ところで、センター試験の会場は、願書に記入した住所を基に決められます。ですから、例えばセンターを出願してから仕事を辞めて地元に帰るようなケースでは、出願時点で住所をどうすべきか考えておく必要があります。試験会場の変更は不能ですから注意して下さい。
1.jpg
2.jpg
 
 
⑥ 二次試験の出願時に添付する書類
 
高校卒業後から現在までの履歴書を求める大学が多いです。
ごく簡単に書かせるだけの大学もありますが、再受験生に寛容と言われるような大学でも、空白なく書くよう指示していることがあります。
 
*願書一式に同封されている履歴書の例
医学部願書の履歴書①.jpg医学部願書の履歴書②.jpg
大学側としては、その人がそれまで何をしていたのか一応は知っておきたい…ということなのでしょう。せっかく入学しても大学に来ずフェードアウトする学生にならないか…そういう懸念を持たれるのかもしれません。
 
その他にも、自己推薦書や志望理由書などを作成して、願書に同封するよう求めている大学もあります。  
医学部 自己推薦書.jpg
センター終了後から二次出願までに作成する時間はありますが、こういった書類を求められていることを知らないと、いざ出願時に慌てることになるかもしれません。願書を見てみないと判らないこともあるので、出願可能性のある大学の願書は、多少費用がかかっても、早めの入手をお勧めします。
 
念のため履歴書や志望理由書は記入後にコピーか写真を撮っておくといいでしょう。
 
 
⑦ 英語の勉強は早めに着手を
 
前期は大多数の大学で英語を課されます。後期の小論文は事実上英語の試験みたいな大学もあります。ゆえに、医学部再受験を決意したら、何を差し置いても英語の勉強はすぐにでも開始して下さい
医学部に入学後も英語は必要です。
また、仮に夢破れて医学部を諦めることになっても、徹底的に鍛えた英語力はいつかどこかで役立つ可能性が高いです。
 
二次試験の数学や理科までは間に合いそうもないが、英語や作文が得意な人でしたら、国公立大学後期日程で英語小論文を出題する大学だけでも受験することをお勧めします(既出の知恵ノート参照)。
 
いずれにせよ、河合塾駿台の模試を受けて現在の学力を客観的に把握しておきましょう。これらの模試でせめて偏差値62~63はないと、翌年の合格見込みは薄いと思います。
 
 
⑧ 勉強時間の確保
 
無職の人ならともかく、社会人だと時間の確保が問題になります(注1)。以下は現役社会人へのコメントです。
 
残業が少ない職場なら、時間の確保は容易でしょう。わたしの場合、残業は月に数回。午後6時までに退社し、帰宅途中にスーパーで夕食を買い、自転車で5分の自宅に帰って、風呂に入って食事を済ませると午後7時。
そこから勉強時間5~6時間確保できていました。
 
残業が多いとか通勤時間がかかるような職場だと時間確保がネックです。毎日のように夜8時過ぎまで残業があるようでは現実的に無理があります。
時間が全然取れないとなると、根本的に考え直す必要があると思います。
 
個人的には偏差値60台前半までは独学でいいと思っています。60以下の人が受験勉強を始めるに当たり、何も解らないからと退職して予備校や塾へ行くのはお勧めできません。そんなことをしていたら社会的に根無し草になってしまうかもしれません。百歩譲って土日に予備校へ行くのはいいとしても、60以下のレベルなら絶対に会社を辞めない方がいいです。
60台前半以上の人の場合、予備校へ行きたければ行けばいいし、必要性があると感じたら必要な部分だけ利用すればいいでしょう。その場合も、会社を辞めずに土日だけ行くか会社を辞めて勉強に専念するかは貴方次第です。
 
失礼ですが、勉強をスタートして偏差値60ぐらいまで自分で何とかできないような人では医学部での勉強は難しいと思います。いずれ医学部に受かるような人なら、そもそも論としてこの程度は自分で何とかできるものです。
 
注1:働きながら片手間に医学部の受験勉強なんてできるのか?…という意見はあろうかと思いますが、ここでは度外視しています。わたしを含めて、実際にそういう人は(少数派かもしれませんが)いますから。
 
 
 
⑨ 退職時期
 
受験1本に専念するため、前年の9月に退職して勉強に取り組んだ人もいます。
1年前に退職した人もいます。受験のかなり前に仕事を辞める人は多いと思います。
しかし、退職して勉強する場合、何年やっても受からないと人生詰んでしまうリスクがあります。
数年単位の勉強計画を立てる人もいますが、偏差値60以下のうちは例え片手間の勉強であろうが会社を辞めない方が賢明です。この程度の成績で自分を崖っ淵に追いやるのは無謀です。退路を断って自分自身を追い込むことが美化されがちなのですが、他人が言うそんな無責任な意見に乗ってはいけません
 
ポテンシャルの高い人が勉強時間を確保できるのであれば、仕事をしながらでも合格可能性はそれなりにあるでしょう。
 
以下、仕事をしながら受験する人へのアドバイスです。
仕事の性質にもよりますが、基本的に、合格が決まるまでは退職の意を示さないのが賢明です。職場には最後まで内緒にしておいた方がいいと思います。
法的には退職日の2週間前までに退職の意を示せばいいはずですが、社則により1ヶ月前までに退職願を出しなさい…としていることが多いです。
しかし、合格発表より前に退職の意を示すのはお勧めしません。
「受かったら3月いっぱいで退職したいのですが…」と上司に相談するのは余程の自信がない限り愚の骨頂で、落ちていればその後バツの悪い思いで会社生活を送る破目になります。その後は居づらくなって、数ヶ月の間に辞めることになるでしょう。
慌てて3月末に退職を合わせる必要はありません。確かに、4月以降の退職となると、会社員と学生という社会的に二重の身分になり、本来あまり望ましいことではありませんが、それもほんの1ヶ月かそこらの話です。
 
こういった時のためにも十分な日数の有給休暇を残しておくことをお勧めします。
そして、退職日が4月以降に食い込んでも、有給休暇を全て消化して退職することをお勧めします(注2)。
特に後期日程など3月下旬に合格が決まった場合は、その日のうちに大学の医学部学務課に電話して入学の意思を示しつつ相談し、指示を仰いで下さい。大学側も、貴方がすぐに退職できないことぐらい理解するはずです。
そして、入学手続きを終えて籍を確保して下さい。それから学務課に直接出向いて担当者に改めて口頭で事情を説明すれば道は開けます。
基本的に、入学手続きを終えた合格者を今さら不合格にすることはありません。案ずるより産むが易し。とにかく、大学に相談すべきです。
 
注2:ただし、有給を消化してから大学に来ます…と大学の先生には言うべきではありません。
速やかに退社の意を上司に伝え、仕事の引継ぎを済ませて退職します…で通しましょう。
 
わたしの場合、4月4日頃の入学時健康診断だけは受けに来て下さい…と教育担当の先生に言われて行った以外、4月は入学式も含めて授業に全く出ませんでした。もちろん、無断欠席ではなく、先生の指示を仰いで欠席したものです。
入学式なんて、記念行事に過ぎませんから出席しなくても大丈夫です。
職場に対しては、退職理由は家庭の事情とし、退職日は5月中旬に設定。4月下旬頃まで働いて(やはりすぐには辞められませんでしたので)、残りは全て有給休暇消化として職場を去りました。
退職日が5月中旬にも関わらず、5月上旬から無事クラスに合流しました。
 
*当方が4月以降まで厚生年金を払っていた会社員だったことを示している書類 
医学生と会社員のダブり(修正済み).jpg
ちなみに、4月が社会人と学生の二重の身分になるからと、住民票のある市役所職員からどうこうと言われたことはありません。そりゃあ仕方ないですよね…程度の話です。
 
 
⑩ 前の大学の単位認定
 
成績証明書(単位修得の証明書)があれば、一般教養科目の一部が認定されて履修免除になることがあります。
大学により扱いは違うでしょうが、わたしの場合、外国語(英語とドイツ語)と保健体育と自然科学が全て、人文科学と社会科学の一部が認定となり、新たに取るべき一般教養は5科目で済みました。
 
既に大学を卒業している人は(あるいは中退者でも可能なら)、前の大学の単位を証明できる書類を取っておくことをお勧めします。申請しても、その日のうちにもらうことはまず無理なので、改めて取りに来るか、郵送料を支払って郵送をお願いすることになります。
当然ですが、申請には運転免許証などの身分証明書の提示が必要です。
 
*成績証明書の申請書(前の大学)
単位修得証明書の申請書.jpg
厳封のものなら発行年月日を問われないと思います。わたしの場合、6年ぐらい前に取っておいたものを使用しました。 

医学部 成績証明書.jpg

わたしは前述の通り、4月授業に出ませんでしたが、一般教養科目の履修免除は非常に助かりました。カリキュラムの都合上、1科目だけ教養科目の履修申告を学務課の人が代行して下さったので、前期5月以降は教養1科目と医学科専門科目(医学概論、医学英語、細胞生物学、地域医療学等)で、授業は週3日のみ、週休4日制でした。残りの教養4科目は後期以降に取りました。 
 
*教養科目の大部分が認定に(2年次後期の成績通知書)
前の大学の単位認定3枚を1枚に.jpg
 
 
⑪ 入学時に必要なお金
 
経済的に困るようなら奨学金も検討しなければなりません(→)。しかし、奨学金の貸与は入学後すぐに始まるとは限りません。アパートを借りる場合は家賃(3ヶ月分程度の前納金も求められるかもしれません)の他、敷金、不動産仲介手数料などがかかりますし、入学金は3月中に、授業料は前期分を4月中に納入であることを考えると、国立大学の場合でも入学時にせめて100万円ぐらいの現金は必要でしょう。
余程お金がなければ大学に事前に相談するしかありません。授業料免除申請や学生寮に入ることを考える必要があるでしょう。入寮はかなりのコスト削減につながります。
その大学が地元ではない人の場合、地元の人と比べて学生寮への入寮の優先順位が高くなります。
 
 
⑫ 6年間の費用
 
国立大学であれば、入学金と6年分の授業料が約350万円です。
公立大学だと出身地により入学金が異なり、例え奈良県立医科大学の場合は本人か家族が1年以上奈良県民であれば入学金は282,000円ですが、県外生は802,000円(2015年現在)となっています。
 
6年間の生活費は1ヶ月の生活費の72倍です。ですから、月10万円でやっていける人なら720万円ですし、月15万円なら1080万円、月20万円の生活レベルなら1440万円という目安が立てられます。 
 
*あくまでも平均値ですが、1都3県の下宿生の生活費:月13万円

医学部 大学生の生活費調査.jpg

学費や日常生活費以外で必要な費用(→教科書代、その他)は50万~150万円見ておけば大丈夫だと考えています。自動車を購入する等の臨時費用がない限り、意外とかかりません。
 
 
奨学金について
 
医学生にはいわゆる「ひも付き奨学金」と言われる奨学金制度があります。これは、一定の条件(卒後の就職)を満たせば借りた奨学金を返済しなくてもよいという、非常にありがたい制度です。経済的に余裕がなければ検討する価値はあります(こんな制度があること自体、医学生は非常に恵まれていると思います)。
医学部 奨学金の例②.jpg
ただし、内容をよく理解してから貸与を受けるべきです。
 
医学生修学資金というキーワードで検索すると、そういった奨学金関係のサイトがたくさん出てきます。
医学生修学資金3.jpg
基礎知識として概略を以下に述べます。
自治都道府県や市)がやっているものもあれば、病院が独自にやっているものもある
◆基本的に返済免除条件に就労義務のある奨学金同士を2ヶ所以上から借りることは認められない(学生支援機構のような就労条件のない奨学金との併用は可とされる)
◆貸与される金額は奨学金により月額5万~25万円
返済免除となるための就労義務条件は様々で、借りた期間(注3)と同期間指定病院で働けば免除となるケースもあれば、借りた期間の1.5倍働けば免除というケースもあるし、借りた期間に関わらず一律△年(9年が多い)というケースもある
◆卒後、指定された病院に就職しなかった場合、元金だけではなく利息も含めて返済のケースもあり(注4
◆卒後、指定された病院に就職して何年か働いたが、途中で自己都合で病院を変わるなどして期間満了にならなかった場合、利息も含めて全額返済のケースもあり
◆晴れて期間が満了して返済免除となった暁には、それまでいただいた奨学金は一時所得とみなされ、所得税課税対象となることもある(注5
…だいたいこんな感じです。
 
注3:奨学金の利用は何年生からでも可能なものもあれば、申し込みできる学年が限られているものもあります。何先生からでも利用可能な奨学金の場合は、学年が進んでから借り始めると、その分貸与総額は減りますが。
注4卒業と同時にすぐに全額まとめて返せば利息なし…とは限りません。
注5:見解に相違もあります。
医学部 奨学金の所得税①.jpg
岐阜県の修学資金については、名古屋国税局は非課税との見解です。 

医学部 奨学金の所得税②.jpg

 
ある病院の奨学金を6年間借りたとします。その病院で6年間働けば返済が免除される条件だったとします。
卒後2年間その病院で働いたが、その後に自己都合にて他の病院に行きたくなったとします。
その場合、残り期間の4年分だけを返せばいいのか、そうではなく6年分全額を返さなければならないのか、利息は必要なのか、…各々異なりますから、最初にしっかりと確認しておく必要があります。
 
実は、ここはキャリアプランにも関わってくる部分です。
ご存知の通り、卒後臨床研修として医学部卒業後は2年間の初期研修を受けなければなりません。最初の2年間はまだ専門の科を決めないのでともかく、それを終えて3年目からの専門医研修ではその病院で専攻したい希望の科の研修が行えないこともあり得ます(注6)。
要するに、例えば将来は脳外科医になりたいが、奨学金を受けている病院では脳外科専門医研修のプログラムがない場合はどうなるのか?…というのが具体例です
 
都道府県の奨学金ならその都道府県内に研修病院がいくつもあり、選択の余地があるからいいでしょう。しかし、市の奨学金や病院独自の奨学金だと専門医研修を受けられる病院がどう設定され許容されるのかが不明です。
つまり、病院が指定されると選択の幅が狭まるため、貴方が希望する科の専門医研修が受けられない可能性もあるのです。
 
卒後臨床研修については以下の⑨⑩をご参照下さい。
 
2年を超える期間の縛りを受ける(入学から8年超も先の話)となると、将来何科に進みたいか、入学時はほとんどの人がまだハッキリしていないと思います。
しかし、専門を何にするかのキャリア形成のことも少しは念頭に置いて奨学金の利用を考えるのがよいと思います。
 
注6:近年の専門医研修などでは、そもそも病院を複数経験するローテートを課されるケースが多く、それゆえ病院独自の奨学金を6年間も借りて、6年間も同じ病院に勤めるようなこと自体、一般的には考えにくい想定です。病院独自の奨学金の場合、5~6年生の2年間だけ借りて、初期研修の2年間はその病院に勤めて、3年目からは無罪放免となるようなケースが多いかもしれません。
 
 
 
事情により国民年金を納められない人、納めたくない人は、将来もらえる金額が減りますが、市町村役場で学生納付特例制度の利用手続きをしましょう。
未納状態で放置…はお勧めしません  

医学部:国民年金1.jpg

*前年所得が多い人も一度市役所に問い合わせてみて下さい。制度利用が可能なことがあります。医学部2年生になれば前年の1年生の時の所得はアルバイト程度のごく小額ですから、この制度を利用することが可能なはずです。
医学部:国民年金2.jpg
医学部:国民年金3.jpg
次年度からは葉書で継続手続きが可能です。
 
 
⑮ 高年齢の医学生や研修医はやっていけるのか
 
新しい世界に飛び込むからには柔軟な思考回路が必要です。それまでの経験や体験から自説に固持していては、新たなことを学ぶのにマイナスです。
 
多数派である若い学生との間に壁を作ってはいけません。仲良くしようと無理に上スベリしても格好悪いですが、少なくともバリアを張らないようにすべきです。
自分は年上だからと上から目線で接したり、ズルいことをしていると必ず嫌われます
かつての学生時代に先輩に対する態度と後輩に対する態度に大きな落差があるような人だと、うまくやっていけないかもしれませんね。別に年下の先輩にペコペコする必要はありませんが、どんな相手にも礼を失することのない態度が必要です。
 
医療従事者は、周囲の人たちとうまくやっていく能力が必要す。
年下の医師から見て年上の医学生、研修医には教えにくいと言われます。
それは当然そうでしょう。だから、謙虚な態度が必要です。
貴方が人畜無害であることを解ってもらえれば、特に問題なくやっていけますからご安心下さい。
 
年齢を重ねて能力(脳力)が低下するかどうかはその人次第です。
それまで何も考えずボーッと過ごしてきた人だと30歳を過ぎてからの低下は著しいでしょう。しかし、常に物事に興味関心を持ち続けてきた人なら明晰な頭脳が維持されているはずです。理解力はそんなに簡単に衰えるものではありません
ただし、記憶力の低下は努力でカバーするしかありません
 
年齢とともに多少体力が低下してくるのは仕方がないです。
徹夜マージャンをしても平気だった20歳とは違います。程度の差はあれ誰でもそうです。夜間当直の回数は研修病院により異なりますから、いろいろと調べてみるといいでしょう。体育会系のノリの研修病院もありますが、そうではない病院も多数あります。
 
高学年になったら早めに病院見学を始めて、担当者に顔を覚えてもらうのもいいと思います。若い人のように病院選びで贅沢なことは言えませんが、人気病院以外なら就職の機会はいくらでもあります。貴方の人間性を見てもらってこの人となら一緒に仕事してもいいかと思ってもらえたらシメたものです。
逆に、こいつと一緒に仕事したくないと思われるようになってしまってはダメです。
 
高齢の医学生に対して世間には様々な意見があります。
しかし、そういった意見を肝に銘じつつも、振り回されてもいけません。
 
以上、アドバイスやコメントがお役に立てば幸いです。 
年齢についての回答(K医療センター).JPG
 
 医学部受験 再受験生へのアドバイス 終わり
 
 
 
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