Ruka170cm98F の 知恵ノート

医学部 再受験 理学療法士 などについての知恵ノート集

【07】医学部医学科の CBT & OSCE について

医学部医学科の CBT & OSCE について
 
医学科4年生になると、CBT と OSCE という2つの大きな試験が4年生のどこかの時期で行われます。これらの試験にパスしないと、その後の大学病院等で行われる臨床実習を受けることができません。
いわば、臨床実習のための仮免許みたいなものです。
某医師国家試験予備校の講師によれば、CBT の内容は医師国家試験のだいたい6割ぐらいの内容とのことです。なので、4年生以上の医学生なら、ある程度の病気の知識はありますね。
これらに受かると数十週間(最近では72週ぐらい)の臨床実習に突入します。
 
ちなみに、臨床研修とは、医学部を卒業して医師免許を取得した人が臨床研修指定病院で受けるものです。研修医はもちろん医師です。
言葉が似ていますが、「臨床実習」と「臨床研修」は違います。
 
以下 CBT やOSCE のことをまとめてみたいと思います。
 
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CBT(Computer Based Testing)とは

コンピューターを用いた試験のことを
シービーティーと呼びます。医学部医学科で CBT と言えば、臨床実習に出る前、必要な医学的知識を理解しているかを評価する試験です。
概要は以下をご覧下さい。
 
アマチュア無線などの試験も CBT 方式で行われているみたいです。なので、CBT という言葉自体は医学部特有の用語ではありません。
 
OSCE(Objective Structured Clinical Examination)とは

オスキー
と呼びます。客観的臨床能力試験のことです。要は実技試験です。
単に診察手技などの臨床技能を評価されるだけではなく、マナーや態度なども採点に加味されます。
OSCE は医学生、歯科学生、薬学生だけではなく、一部の大学では看護学生や理学療法科の学生にも取り入れられ、実施されているようです。
概要は以下をご参照下さい。
 
前述の通り、医学部医学科の CBT や OSCE は4年次に実施されます。ところが、これらは例えば大学入試センター試験のように、全国一斉に行われるわけではありません。大学により実施時期が異なります。
例えば、関東地方のTs大学だと6月に、中部地方のG大学だと8月に CBT があります(当時)。このように、4年生の早い時期に行う大学もありますが、一方で、年度末に近い2月に行う大学も多くあります。
上記のG大学の場合、8月に CBT があり、9月は漢方などの集中講義が行われる時期で、10月に OSCE があり、臨床実習は4年生の12月から開始だったそうです。
2月に実施する大学の場合、臨床実習は5年生になってから開始です。
この他、12月中にこれら2つを一気に実施し、臨床実習が1月から始まる大学もありました。
臨床実習が4年生の終わり頃から始まったり、5年生から始まったりで、大学によりいろいろですが、最近は実習を72週行う大学が増えてきており、これまで5年生から開始していた大学でも、徐々に4年生後期へと前倒しして実習が開始されているのが実情のようです。
 
CBTの実施要領

まる1日がかりの試験で、
60分のコマが計6コマあります。
コンピューターによる出題ということもあり、隣の人とは違う問題が出題されます。隣の人のパソコンをカンニングしても無駄なのです。
どうやら1万問ぐらいのストックがあるようです。新作問題は最初から採点除外になるようで、医学生に回答させてその正解率からその問題の難易度を推し量り、翌年以降の出題に役立てるらしい。そうやって、出題問題の難易度がうまく調整され、各受験者ごとに平均難易度に差が出ないような仕組みになっているようです。
コンピューターによる出題ですから、問題の持ち帰りや自己採点は不可能です。QB(クエスションバンク)などの問題集の CBT 問題は、あくまでも再現問題です。
 
成績はある一定以下だと不合格の判定となります。すると、再試験を受けることになりますが、再試験でも不合格だと留年決定。無情にもコンピューターの判定ですので救済措置はなく、不合格だとどうしようもありません。
わたしの同級生では、本試験で不合格になったのは3人。再試験では3人とも通っていました。
 
OSCEの実施要領

半日がかりの試験
です。他大学ではどうか知りませんが、わたしの大学ではペーパー試験も課されていましたが、これはもしかして大学が勝手に実施したものかもしれません。
学年を2つに分けて、午前実施組がペーパー試験を終えて校舎の外に出る頃には午後実施組の試験が別室で既に始まっている…という具合に、前半組と後半組が校舎の内外でハチ合わせることはなく、そこら辺はうまく考えられています。
他大学医学部の先生方も実技審査員として加わっていました。不公平がないように…とのことでしょう。
 
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近年は臨床実習期間(実習の週数)が長くなってきており、計72週にしようとする動きが各大学にあります。恐らく2010年頃までは年度末に実施するのが普通だったと思いますが、実習週数延長に伴い CBT/OSCE の実施時期が多くの大学で今後どんどん前倒しされるんじゃないでしょうか。
 
さて、CBT や OSCE の内容について詳しく語ることは禁じられていますので、あまり詳細を書けません。ここではこれから受ける人や医学部志望の人に大雑把なコメントだけ。
 
【CBT】

普通に勉強していれば誰でも通る
から心配要らないと言われます。確かにそうだと思います。既述の6月実施のTs大学の医学生は、4年生の4月になってから勉強を始めたと言っていました。勉強期間はたったの2ヶ月しかなかったということですね。
しかし、時間的余裕があるなら、やはり十分準備しておいた方がいいです。
ウチの大学では、試験の半年前からボチボチとインターネット講座を聞き始める人が多かったです。
既述しましたが、CBT で求められている知識量は医師国家試験の6割程度。それでもかなりたくさん覚えなければなりません。
ついでながら、CBT の成績と医師国家試験の成績はきれいに相関するそうですので、CBT の勉強は国家試験につながります。なので、あまり舐めずにしっかり勉強しておいた方がいいのです。
 
ついでながら、2018年から医師国家試験の問題数が、それまでの500問から400問に減り、試験期間も3日間から2日間に減りました。減るから楽になると思いきや、減った分が CBT に振り分けられる…らしい。
すみません、これを加筆修正している2019年現在、CBT の内容に変更があったかどうか存じません。
 
【OSCE】

この機会に診察手技を学んでおくことも大切ですが、診察手技を全ての医学生が完全にできているわけでもありません。実際のところ、手技がかなり怪しくても合格しています(秘)。
手技も大切ですが、それ以上に感染防止医療面接に注意が必要です。
感染防止では、「清潔」 と 「不潔」 の概念をしっかりと理解しておくこと、スタンダード・プレコーション(標準感染予防策)を理解しておくことです。
医療面接では患者さんに対してするいくつかの質問のうち、絶対に聞き逃してはいけない質問項目があります。アレルギー歴や服薬歴、例えば45歳女性なら妊娠している可能性がないか(45歳での妊娠は想定の範囲内)、…等を聞き逃さないことが大切です。
 
以上、医学部で行われる試験として、CBT と OSCE を簡単に紹介しました。
ご参考になれば幸いです。

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