Ruka170cm98F の 知恵ノート

医学部 再受験 理学療法士 などについての知恵ノート集

【01】医学部から研修医まで…どのような過程を経るのか(高校生向きに書きました)その1

医学部から研修医まで…どのような過程を経るのか その1
 
 
=はじめに=
 
医学部医学科について、当方が今までに得た情報や体験の概要を以下のようなテーマにクローズアップしてまとめてみました。
本稿は主として医学部を目指す受験生を念頭に書いており、以下のような構成になっています。
医学部に入学してから以降どんな内容のことをするのかについて具体的にお知りになりたいのでしたら、以降をお読み下さい。
注意
=免責=
情報の信憑性には万全を期しておりますが、それを保障するものではありません。
ここで紹介する情報で万一閲覧者のかたがたに不利益、トラブルなどが発生しまして
当方は一切責任を負えませんのでご了承下さい。
2013年~2015年のデータを基に記載していますが、適宜編集することがあります。
 
 

本稿の構成

 
①前書き
②大学により医学部のカリキュラムは違うのか
③大学選びとその後の進路について思うこと
④大学医学部のカリキュラム(一般教養教育)
⑤医学部の専門教育におけるドイツ語や物理や数学について
⑥医学部専門教育
⑦留年について
⑧医師国家試験
⑨初期研修
⑩後期研修
 

これら以外にも、医学部の部活動・サークル活動はどうなっているのか、アルバイト事情はどうなのか、はたまた人間関係や恋愛事情はどうなっているのか、あらゆるテーマが考えられますし、受験生なら受験をどう乗り切るか等についても興味あることと思いますが、ここではそういった話題には触れておりません。
上記についてだけ述べます。
 
なお、わたしは医学部入学前に医療機関に勤務していたことがあり、その経験から述べている箇所も一部あります。また、外部の勉強会や懇親会を通して、他大学の医学生と交流する機会が年数回あり、そこで聴取した内容も含まれています。
他大学の情報は限られたものですので、その点はご了承下さい。
 
 

 

① 前書き


知〇袋を拝読していると、「脳外科医になりたい。どこの大学医学部が脳外科医になるのに適しているか?」「脳の研究がしたい。どこの大学医学部へ行けば脳の研究ができるか?」といった受験生からのご質問を散見します。
大前提として、医師になるためには全ての科を学ばなければなりません。将来脳外科医になるにしても、医学部在学中は、内科、外科、皮膚科、眼科、産科婦人科、精神科、救急科、…等、全ての科を学び、卒業時に国家試験を受けて医師免許を取得することになります。
 
そこで、医学部に入ってどんなことをどういう過程で学ぶか、研修医になってどうなるのかについてのシステム等、身近に医学生でもいなければ知り得ないことと思いますので、今回それらをまとめて記述したいと思いました。本稿はいずれ医学部の受験を考えている人を対象に書いています。
 
データは2013~2016年のものですが、適宜修正加筆することがあります。
ご了承下さい。
 
冒頭の質問に対する回答ですが、「特定の科を勉強したい」という希望があっても、まずはとにかくどこの大学でもいいから医学部医学科に入学し、6年生になったら初期研修を受ける研修先医療機関を選び、卒後は就職し、さらにその後どの科を専攻するか…を考える流れになります。
つまり、〇〇科の医師になりたいといっても、大学を選んでもあまり意味はありません注1)。大学卒業後の臨床研修病院、特に初期研修のあとの専門医研修を行う研修病院を選んで下さい(詳しくは⑨⑩参照)。
また、進学先を自由に選べるだけの入試学力があれば旧帝大でもどこでもいいのですが、たとえば「研究医になりたい」という場合でも、やはりどこかの医学部に入らなければ始まりません。医学部の6年間で〇〇の内容に特化した大学というものは存在しないと考えて下さい。
 
注1:例えば、脳外科に関しては、主として医学部3~4年次に臨床医学の講義チュートリアルが並行して約1ヶ月間と5年次に臨床実習で2週間程度しか学びません。
ただし、6年次に1ヶ月程度臨床実習で脳外科選択が可能なことがあります。
6年間のうち、特定の科(ここでは脳外科)はせいぜいこの程度の期間しか学ばないのです。
脳そのものに関しては、生理学や解剖学など主として2年次の基礎医学講義でその機能解剖を学びます
また、研究室研修で脳に関することをプラスアルファで(任意で)学ぶ機会はあるかもしれません。
いずれも、わたしの大学の例を中心に書いています。
*文中の太字④⑤⑥ 以降を参照。
 
脳外科に限らず他の科でも、多少の違いはあってもこれとほぼ同様。残念ながら、医学生では専門的と言えるレベルまで突き詰めることはまずないと考えてよいです。
 
 

② 大学によりカリキュラムは違うのか

 
*心臓の生理学の授業
医学部⑨.JPG
わたしは勉強会等で他大学の医学生と交流する機会がたまにあり、教育内容等の情報交換すると、やることの違い、それらの進め方・やり方に大学ごとにかなりの違いを見つけることがあります
しかし、医師になる限り大きく見ると結局はどこでもほぼ同じだとも思います。
 
中学や高校では、国語、数学、英語、保健体育、美術、音楽などの科目がありますが、これはどこの学校でも履修します。その点においてはどこの学校でも変わりませんし、どこの高校を卒業しても、卒業は卒業です。
しかし、その中身は普通科なら普通科でも、高校によって違ってくるでしょう。
理科や社会の選択科目、クラス分け、補習、…等々。
雪の多い地方なら、体育の授業でスキーをするかもしれませんね。
課外活動もいろいろです。高校で野球がしたい人なら、野球の名門校へ行きたいと思うのはもっともなことですし、サッカー、バスケでもそうでしょう。
それで、上述のような「どこの大学が脳外科にいいか?」といったご質問、疑問が出てくるのだと思います。
 
高校でいえば、普通科、商業科、工業科、…などがありますが、医学部医学科は医学科であって、この6年間の課程で「脳外科科」「内科科」…なるものはありません。そして、高校のような、国立理系クラスとか私立文系クラスとかのようなコース別課程は基本的にありません注2)。全ての学生が同じ課程を経ることになります。
 
注2:後述するMD-PhDは別。また、地域枠入試で入学した学生には、+αの地域実習等の特別課題はあるかもしれません。

医学部では医学部医学科で学習すべき科目を満遍なく履修します。ゆえに、どこの大学医学部でもカリキュラムに差がないことが建前です。ですが、実際には大学により、先生により、内容ややり方に違いや多少の偏りはあります。例えば、毒生物(ヘビ、クラゲ等)や寄生虫等の感染症エキノコックス、ダニ等)には地域性がありますから、大学の所在する地域によりこういった内容に少々重きを置かれていることはあります。
そして、〇〇に力を入れている…というほどのことはなくても、この大学は△△の分野に弱い…は残念ながらどうしても多少はあります。
 
基本的には、モデルコアカリキュラムという、医学生が卒業するまでに最低限履修すべき教育内容に沿って授業は構成されています。現実的にはこのコアカリキュラムに沿って行われるべき医学教育は全体の3分の2までであり、残りは各大学の独自性に委ねられています注3)。
そのため、微視的に言えば大学により ⑤⑥⑦で述べるカリキュラムに多少の違いはあります。どの大学でも99%同じ内容だと知〇袋で回答している人がたまにいますが、厳密にはそんなことはありません。
 
注3:医学教育の「1.モデルコアカリキュラムの基本理念と位置付け(p1~)」参照
 
ただし、矛盾するようですが、どの大学に進学しても大局的にはあまり変わりはありません。なぜなら、医学部で学ぶ医学で医学が完結するわけではありませんし、医師になってからも医学の勉強は続くからです。
大学医学部で学ぶ医学は医師国家試験レベルまでで、その後のベースになる程度のもの…とお考え下さい。
だから、現実的にはどこの医学部に行ってもあまり変わらないのです。
 
細かいところは違うが、大きくは変わらない…ということです。
 
有名な先生に教えてもらいたいと思っている人へ。
超有名超多忙な先生が低学年の医学生を対象に定期的に専門的な講義なんか時間的にやってられませんし、専門的な話を聴いても医学生のレベルでは内容について行けません。
他大学の有名な先生が自分の大学に招かれて、特別講義を聴講する機会があるかもしれません。授業でその道の有名な先生の話が聴けたら、たまたまラッキーだったということでしょう。しかし、実際にはチンプンカンプンで、先生には悪いですが、居眠りを始める学生が急増します。
 
第一線で活躍されている有名な先生の話が聴きたいのなら、大学の授業ではなく、学外で行われている医学生や研修医を対象とした勉強会に参加するなどして、貴方自身が機会を求めて動いたらいいと思います
 
医学生向けの勉強会の例(学生は受講料無料または格安のことが多いです)

医学部:呼吸器勉強会の例.jpg

医学部:勉強会の例①.jpg医学部:勉強会の例②.jpg医学部:勉強会の例④.jpg
医学部:勉強会の例⑤.jpg
〇〇大学病院には△△で有名な先生がいる…としても、それは医学部を卒業してから臨床研修でそこへ行けばいいことです。


③ 大学選びとその後の進路

 
*腎臓の生理学の授業医学部⑩’.JPG
医学部では医学を全般的に学びます。医師になればいずれ専門の科を専攻するにしても、医学生の段階である特定の科に偏重することはあまりよいこととは言えません。
 
脳外科医になると決めて医学部に入る人もいるでしょうが、実際には何科の医師になるか明確に決めていない医学生がほとんどです。多くの医学生は大まかに、内科系、外科系、…と考えている程度です。研修医1年目が終わってもまだ決められない人もいます。また、初めは〇〇科を目指していたが、途中で考えが変わったというドクターもいます。
 
以上のように、先は長いですから、特定の科を初めから決め撃ちせず、「○○科医になりたい」とあまりガツガツせずなるべく幅広く学んでおくことを考えて下さい
 
結局、医師国家試験を経て医師になる分には、大学により大きな差は生じないと考えていて下さい。
 
実際問題どこの大学でどんなことをしているか…の大学ごとの詳しい情報をプールしている人はこの医学の業界でもあまりいません。全国の医学生に大々的なアンケート調査でも実施しない限り、各大学間の違いが浮かび上がってくることはありません。
もし志望校の詳細を知りたければ、オープンキャンパスに参加して、そこの現役医学生から直接ナマの情報を仕入れましょう。それでも限界はありますが。
 
どこの大学にも受かるぐらい高学力の人なら有名大学など好きなところへ行くのもよいですが、医学部合格はちょっとギリギリかな…という人は選り好みをせずにどこへでも行く気で合格を勝ち取る方がいいと思います。
6年間医学を勉強し、医師免許を取って、もちろん臨床系(現場の医師)を目指すか基礎系(研究医)を目指すか(あるいは厚生労働省医系技官等の道もありますが)の違いがあっても、出身大学だけでその人の運命が決まってしまうようなことは、防衛医大自治医大などの卒業後9年以内を除き、まずありませんから。
 
大学による違いは、その大学病院が影響を及ぼしている関連医療機関の多さや地域性等に確かに関わってはきます。地元の病院に影響を与えているのは当然です(注4)が、医師の出身大学によって就職できない病院はあるのか?…というと、市中病院ではほぼありません(注5)。病院側としても、医局(注6)に医師派遣をお願いする場合以外では、特定の大学出身者だけで人事を固めるのはほとんど無意味なことです。
〇〇大学出身でないと△△病院に就職できない…というのは、絶対に違うとは言いませんが、基本的には違うということです。
 
注4:初期研修を終えた3年目以降の医師が医局に入れば、大学医局がその医師の人事を握るかたちになります。
医局は医員である医師を関連病院に派遣することになるため、また、病院側も大学を頼って医師の派遣を要請するため、△△病院は〇〇大学系だ…などと呼ばれることがあるわけです。同じ病院内でも科による程度の差はあります。
注5:特に初期研修医ではまず100%ありません。初期研修医は病院から見てお客さん扱いだ…と言われることさえあります。
注6:医局とは、簡単に言えば医師の互助会みたいなものです。以下をご参照下さい。
 
大学病院に入局する場合(注7)、そこの大学出身の方がいいのか?…については実際ほぼ無関係です。確かに、自大学出身者が多く占めますが、他大学出身の医師や研修医も割といます(注8)。問題は、そこで出身大学に関係なく、のびのびと仕事ができるのか、あるいは学閥が幅を利かせていて、他出身者が肩身の狭い思いをするのか…です。これは、一歩間違えればパワハラまがいの話になりますが。
こういった話はその組織の個別の問題になりますが、現在では出身大学に関係なく受け入れ大歓迎の大学病院が多いはずです。
ただ、学閥というまでのことはなくても、地方の大学病院や私立大学病院などだと自大学出身者が多くて、いわゆる仲良しグループが既に形成されていることはあり、他大学出身者がなじみにくい雰囲気があるかもしれません。そこは要注意。一学年違うだけでも事情が違うことすらありますが。
 
*慶応大学病院の研修医の出身大学例  

医学部 慶応大学病院①.jpg医学部 慶応大学病院②.jpg

注7:基本的に入局するかしないかは各医師の自由です。現実には、多くの人がどこかの医局に入局します。
注8:東大病院の1年目研修医で東大出身者が占める割合は2014年で33%。同様に、慶大病院で38%、東京医科歯科大病院で45%です。
⑨ でも述べますが、初期研修や後期研修で大学病院に就職する人の割合が減っていることもあり、大学病院にもよりますが、定員に余裕があることが多いようです。人気の大学病院は例年定員いっぱいのこともある一方で、二次募集を締め切ってもまだ定員に余裕がある大学病院すらあります。
 
なお、将来は医学部の大学教授になりたいという人もたまにいますが、それは出身大学で決まることではなく、その組織内での人望やその後の実績にも大きく影響されます。
出身大学名だけでポストが決まるほど世の中は甘くありません。
 
大学の名前が利いてくるのは、同じ大学出身の先輩からいろいろ可愛がってもらえるとか、出身大学の先生や同級生や後輩とコネがつながるといった部分でしょう。それで何か恩恵があるかもしれませんし、同じ大学出身の先輩医師がいると安心感はあるでしょう。
しかし、その辺をどう捉えるかは個人の価値観の問題でもあり、具体的にはそれ以上のものは特にないでしょう。
 
以上、で大学によるカリキュラム等の違いについて、長くなりましたが、知〇袋でよく見かける質問に対しての私見を述べました。
 
*医学部卒業後の一般的な進路 

知恵ノート:医学部卒業後の進路.JPG

 
以下は長いですが、基礎系へ行きたい人へのコメントです。
興味のある人以外はに飛んで下さい。
 
基礎系へ進むのなら旧帝大がいいという話をよく聞きます旧帝大は確かに多くの研究関連施設を持っていますし、それゆえか研究志向の人が集まり易いと言えると思います。
 
この他に、旧帝大は研究のための予算をたくさん持っているから…という話も聞かれます。
これについては少しコメントを書きます。
なぜ旧帝大は研究費が多いのかについては、もちろんその大学の過去の実績は重要ですが、研究費というものは国に「〇〇の研究をしたいからお金を下さい」…と申請してもらえるものであって基本的には自動的に与えられるものではありません。研究室(ラボ)や研究者が多ければ、大学がもらえる研究費の総額が大きくなるのはある意味当然なことです。
 
研究者が多いこと(多過ぎること)で実際に問題になっていることとして、研究の歯車になってしまうことだという指摘があります。つまり、「これ、やっといて」…というような研究です(下っ端の人たちはどこの世界でもこうなってしまいがちです)。研究のための予算が多い大学=自分も自由な研究ができる…と何となく考えている高校生がいますが、恐らくそうではありません。
 
地方の国立大学でもよい研究をやってそれなりに成果を挙げている大学はあります。地方の大学でも基礎系の仕事をたくさんしたいと考えている先生方はもちろんいますが、地方では医師不足ということもあり、どうしても人材を臨床に多くまわさなければならない事情があります。
 
やはり知名度の高い旧帝大は研究志向の学生が集まり易いようで、研究マインドを育てるのに適した環境にあると言えると思います。
そういったカリキュラムの例を以下に挙げておきます。
 
地方の大学では、臨床医の不足だけではなく、研究医の不足についても強い危機感を持っています。上に紹介した大学だけではなく、MD-Ph.Dコースを設けている大学は地方にもあります。
以下は地方大学の例として徳島大学のサイトを挙げます。
その他、「MD-PhD」で検索すると、多数出てきます。
 
【MD-PhDについて】
 
*ある大学のMD-PhDコースとその代替案 
医学部:MD-PhD.JPG
 
もし大学院へ進学するのであれば、大学(6年間)を卒業して医師免許を取得し、所定の臨床研修を終了してから大学院へ入る…という流れが一般的です。これに対し、MD-PhDコース(上の写真ではコース3が該当)では、医学部4年生終了時にいったん大学を休学し、大学院に入って3~4年間学んで博士号を取得してから大学医学部の5年生に復学して臨床実習を受け、医師国家試験を経て医師免許を取得する…という課程で、既にいくつかの大学で導入されています。若い研究者を頭が柔らかいうちに育て上げるためには「鉄は熱いうちに打て」ということなのでしょう。
 
このようなMD-PhDコースはある意味画期的なものではありますが、わたしが聞く限りやや過渡期のようです。研究医志向ながらもやはり医師免許取得が遅くなってしまうことに尻込みする学生も多いと聞きます。
そこで初期研修(で述べます)とPhD(上の写真のオレンジ色D1D2…)(注9)を並行してできないか…というプラン(上の写真ではコース2、コース4)も考えられていますが、初期研修の片手間に質の高い研究を担保できるのか…とか、初期研修と大学院生がダブるのはマズイのではないか…という指摘もあり、課題もあります。
 
注9:PhD=博士号
 
医学教育のカリキュラムの性質上、現実的には医学部≒医師養成専門校…だと言われることがあります。本格的な研究は医学部ではなく大学院以降に期待するべきでしょう。
ただ、医師養成専門校だといっても、研究に触れられるような機会はそれなりに与えられます。そのことは で述べます。
(基礎系へ行きたい人へのコメント 終わり)
 
 

④ 大学医学部のカリキュラム(一般教養科目

 
大学教育は一般に{一般教養教育+専門教育}です(他の学部でも同じです)。
1~2年生では一般教養と専門がダブります。
 
1年生から2年生の前期まで一般教養科目を学びます。
・人文科学
社会科学
・自然科学
・保健体育
・外国語
を履修します。
 
自然科学に関しては、大学により必修科目が設けられていることもあります。例えば、物理学を〇単位、化学を〇単位、生物学を〇単位、数学を〇単位を必ず含めて計〇単位以上といったパターン。一方で、こういった条件を全く設けておらず、とにかく合計で〇単位以上というパターンもあります。これは上のでも述べましたが、実際に入学してみなければわかりません。「物理が苦手なのですが、やっていけますか?」という質問が知恵袋にたまにあります。医学部専門教育では物理学は出てきませんが、一般教養科目で物理学が必修なのかそうでないのかは大学により異なります。
どうしても詳しく知りたければ、オープンキャンパスに参加して、そこの医学生に直接質問をしてみましょう。質問リストでも作っておいて、関係者に直接取材してみましょう。それしか方法はありません。
その他の理数系科目で、情報科学も学びます。
 
外国語英語が必修、もう1科目をドイツ語フランス語中国語などから選択します。第2外国語がない大学医学部もあると聞いたこともありますが、定かではありません。
入学後にTOEIC を受験させられる大学もあります。一定の成績(注10)を収めると、一般教養科目の英語の履修が一部免除になります(注11)。わたしの大学では6~8割の医学生がこれを満たし、履修免除となっています。
 
注10:最低でも600点が一応の基準になると思います。
注11:医学専門教育の「医学英語」は免除になりません。
 
個人的な意見ですが、TOEIC 600点は平均的な日本人大学生としてはまあまあですが、正直なところあまり高いレベルとは言えません。医学生といえども実践的なリスニング能力の高い学生はあまり多くないですし、スピーキング能力が高い学生は残念ながらわずかしかいません。
なお、わたしの大学ではドイツ語検定を取得すると、ドイツ語の履修がその級数により一部または全部が免除になります。
 
多くの学生は一般教養科目で必要とされる単位を2年次前期までに全て取得します。普通にやっていれば1年生でほとんどを取ることが可能です。2年次後期まで未修単位を残していると、専門科目の授業とカブってきて厄介です。
でも述べますが、{1年→2年}で留年の関門がある大学は多いです。
 
下表はわたしの大学の1年生の医学専門科目の時間割表(2013年6月第2~3週)の例です。 
知恵ノート:1年生の6月の時間割例.JPG.jpg
青枠は空きコマを表しており、この空きコマに一般教養の科目を選択して入れていきます。黒文字が薄っすらと書かれているコマは医学専門科目です。専門科目の授業がまだ少ないことがわかります。ただし、1年生のうちにもう少し医学専門科目を前倒しして入れて、必要な科目を早めに済ますべきだという意見は先生側からも学生側からも聞いています。
赤は教員名で、塗りつぶしています。塗りつぶしていない部分はいろいろな先生が持ち回りで講義されます。
 
下表は2年生の医学専門科目の時間割表(2013年6月第2~3週)の例です。
1年生に比べて青枠の空きコマがだいぶ減っていますが、それでもかなりの空きコマがあります。つまり、1年次に一般教養科目のほとんどの単位を修得していれば、2年次前期では暇なコマが多くなります。
大学にもよるかもしれませんが、このように授業でギシギシではなく、意外と暇があります。 
 
知恵ノート:2年生の6月の時間割例.JPG.jpg
 
なお、見にくくて恐縮ですが、第3週水曜日に「地域医療実習活動日」というものが全日入っています。こういった医学科専門教育がこのように不定期に入っていることがあります。もし水曜日に一般教養科目を入れていた人の場合はここがカブってしまうことになります。この場合、一般教養のほうがプライオリティーが低いので、そちらをサボらざるを得ません(1回ぐらい一般教養をサボっても、単位を落としたりはしませんけれど…)。
あくまでもわたしの大学の例です。
一般教養科目はサッサと片付けるに限ります。
 
 
く。
 
 
 
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